「先生、あのね……」。子どもが何かを伝えようとしているけれど、なかなか次の言葉が出てこない。そんなとき、すぐに答えを予想して言葉を補うのではなく、少し待ってみる。保育の仕事では、たくさん話せること以上に、相手の言葉が出てくるまで耳を傾ける力が役立つ場面があります。「自分は話し上手ではないから保育に向いていないかも」と感じている人も、奈良の保育士採用情報を見るときには、自分が人の話をどのように聞いているかという視点から仕事との相性を考えてみてはいかがでしょうか。
子どもは、大人のように自分の気持ちを順序立てて説明できるとは限りません。
「嫌だった」
その一言の裏にも、さまざまな出来事があります。
遊びに入りたかったけれど言えなかった。
使いたかったものを先に取られた。
本当は悲しかったのに、怒ったような言い方になった。
保育者は言葉だけを聞くのではなく、表情やその前後の出来事も思い出しながら、「何を伝えたいのかな」と考えます。
そこで必要なのは、すぐに結論を出す速さではありません。
「どうしたの?」
「もう少し聞かせて」
と待ちながら、その子自身が気持ちを言葉にできるよう支えることです。
話を聞く場面は、子どもとの関係だけではありません。
一緒に働く職員とのやり取りでも、聞く力は生かされます。
「今日はこういう様子だったよ」
「この子、最近こんな遊びが好きみたい」
同じ子どもを見ていても、職員によって気づくことは違います。
自分の意見を伝えることはもちろん大切ですが、ほかの職員の見方を聞くことで、自分だけでは気づかなかった姿が見えてくることもあります。
先輩から仕事を教わるときも同じです。
ただ手順を覚えるだけではなく、
「なぜここで声を掛けるんだろう」
「どうして今は手伝わずに待っているんだろう」
と考えながら話を聞く。
分からなければ質問する。
その繰り返しによって、目の前の動きだけでなく、保育の考え方も少しずつ身についていきます。
さらに、保護者との会話でも「聞くこと」は重要な仕事になります。
お迎えのときの何気ない一言。
「最近、朝なかなか起きなくて」
「家ではこの遊びばかりしています」
一見すると小さな話でも、家庭での子どもの姿を知る手がかりになります。
保育者が園で見ている姿と、家庭での姿が必ず同じとは限りません。
だからこそ、一方的に園での出来事を伝えるだけではなく、家庭の話にも耳を傾けることで、子どものことをより広い視点で考えられるようになります。
就職活動では、「明るく元気に話せる人のほうが有利なのでは」と感じる人もいるかもしれません。
けれど、保育の現場にはさまざまなタイプの人が必要です。
場を盛り上げるのが得意な人。
活動を考えるのが好きな人。
細かな変化によく気づく人。
そして、人の話を最後まで聞ける人。
それぞれの強みが重なることで、チームとしての保育がつくられていきます。
面接でも、自分を必要以上に大きく見せる必要はありません。
「人の話を聞くことを大切にしています」
と伝えるだけでなく、
「相手が話し終わるまで待つようにしています」
「分からないことは確認してから行動するようにしています」
と具体的にすれば、自分の特徴を伝えやすくなります。
保育者に必要なのは、いつでも子どもより先に答えを知っていることではありません。
子どもの声を聞く。
職員の考えを聞く。
保護者の話を聞く。
そして、聞いたことをもとに次の関わりを考える。
「話すのは少し苦手だけれど、人の話を聞くのは好き」。
そんな自分の特徴も、見方を変えれば保育の仕事で生かせる大切な力です。
誰かの言葉を急がせず、その人が伝えようとしていることを受け止める。その姿勢を毎日の仕事に生かせることも、保育の仕事ならではの魅力の一つです。